プレゼントに込められた想い

バースデー

皆さんは当然ご存知かと思いますが、11月は私の誕生月です。

思い返せば去年の誕生日の朝。

愛する妻は、既製品の座布団にアップリケで「アバらぶ♡♡」とデコレーションしたものを、いつも私が座る場所にサプライズで置いてくれていたんです。

そんな演出に対して私は、一切気付かずに座り続けました。

シビレを切らした妻のツッコミでようやく気付きましたが、あれは気付かなかったというより、あまりにもしっくりきすぎて私と同化してたんだと思います。

そして今年、私よりちょっと早い妻の誕生日に、私はちょっとしたサプライズをしました。

なので私の誕生日には、きっとサプライズ返し・・・・・・・をしてくるんだろうなぁと思っていました。

私の誕生日の朝、出勤前の朝風呂に入っていました。

いつもならある時間になると風呂のドアをバンバン叩きに来るのに、今日は全く来る気配がありません。

おかしいと思いつつ、風呂の中から妻に、

アバ
おーい、時間大丈夫かねー??

と声をかけると、あからさまにドタバタしながら、

ワイフ
あーゴメンゴメン。ちょっと色々やってた。

・・・これは明らかに、現在進行形で何か仕掛けています。

何かあるなら夜かと思っていましたが、なるほど、忙しい朝にぶち込んできましたか。

出勤まであと30分。まぁプレゼント授受くらいなら朝でも充分時間はありますかね。

風呂からあがって身支度を終え、いざ妻のいるリビングに向かうと・・・

 

ワイフ
ハッピバ~スデ~~ア~バ~~

 

セレモニー キター(゚∀゚)ー!!!

なるほど、忙しい朝にこうきましたか。

これって、歌ったり、火消したり、切り分けたり、いろいろ時間かかるやつやー!

でも嬉しいですぞ。忙しい朝なのはお互い様ですからね。

そこであえてこんなのやるんだから、なんて愛情たっぷりな妻なのでしょう。

 

ただひとつ気になることが。手放しで喜べない。心にモヤモヤが引っかかります。

その理由は、ワイフのおかし作りスキルの低さです。

これは私だけの不安ではないはず。

これまでの人生を振り返れば、作った本人もその自覚はあるはずなのですが・・・。

 

アバ
しかし手作りケーキとは随分チャレンジしたな。で、自信アリなのか??
ワイフ
それなんだが、スマン。味見はしておらんのだ。

ナルホド、ここからが「真のサプライズ」ってことですね。

全然オッケーです。この試練、二人で乗り越えてみせましょう。

 

ひと通りの儀式を終え、いざ実食です。

切り分けるため、妻がケーキ入刀!

・・・ん?んんッ??

 

 

どうやらナイフがすんなりと入らないようです。

岩盤層でもあるのでしょうか?

ていうか、それケーキのはずですよね?

ワイフ
ホットケーキミックスを炊飯器で炊いたんだ。

そ、その硬さがホットケーキミックスですと!?

あの防御力ゼロのホットケーキミックスを炊飯器で炊くと、そこまで硬くなれるのか!

これはすごい発見じゃないのか?

ワイフ
ま、1回でいいところを6回も炊いたんだけどな。

すごい!なぜ1回でいいところを6回もやったんだ!?

そこに至った思考を追及したいとこだが、出勤まで時間が無いのでやめておきます。

悪戦苦闘しながらも、なんとか二人分の切り分けが完了。

そして断面部を見て納得。

 

 

ケーキのはずなのに一切の空気を受け入れないであろう、この限界まで凝縮された肉質。

見た目はもはや羊羹だが、その耐久力ときたら羊羹などとは別次元。

こうなってくるとチョコで書かれた「Happy Birthday」の文字ですら恐怖文字に見えてきました。

朝食がケーキとか、胃腸虚弱の僕が耐えられるか不安だが、出勤までもう時間がありません。

アバ、食うんだ!

このケーキの皮を被った得体の知れないなにか・・・を!

アバ
い、いい、、いただきます。

ぱくっ…

ジャリッッ…

周りについたレインボーのツブが、まるで砂利でも噛んだかのような食感です。

肝心のケーキ部分はカッチカチの消しゴムでも食べているかのような食感で、味もほとんどありません。

上に乗ったベリーは冷凍されていたようで、食べた途端に私の知覚過敏を呼び覚ましました。

 

もう一口食べたいかと言うと、それはできれば避けたい!

横で妻も自分の分を食べた後、軽く硬直しています。

私のために陰でがんばって作ってくれたことはすごく嬉しいのですが、「すごく美味いよ!」なんて言っても、妻はウソだと分かるでしょう。

だって自分も食べたんだから。

 

なんてあれこれ考えながら固まっていると、これを錬金したワイフは、

ワイフ
ま、サプライズにはなったな!ε=( ̄。 ̄;)フゥ

なんて満足そうに言っています。

まるで何かの大役を任され、それをやり遂げたようなとても晴れやかな表情です。

そんな妻を見て私が感じたのは、妻への愛おしさと、なんとも言えない満足感でした。

ふと気付けばもう出勤時間。

「残りは夜食べよう」と言いつつ、急いで家を出ます。

駅に向かう道中、私は妻の朝からのドタバタ劇を思い出して笑っていました。

そしてしみじみと感じたのは、プレゼントというものは物の価値でなく、「そこに込められた想いにこそ一番の価値がある」ということでした。

万人向けに作られた美味しいケーキよりも、私のために作られたケーキらしき・・・ものの方が、私は格別に嬉しかった。

愛する妻よ、私の為にいろいろありがとう!

ケーキらしきものは別として、その奥にあるワイフの気持ちはしっかり消化・吸収しておきますよ。

 

その夜。

アバ
そういえば、朝のケーキどうなってる?
ワイフ
アレな、捨てたわ。
アバ
なんで?夜(がんばって)食べようと思ってたのに。
ワイフ
そう思って冷蔵庫に入れておいたら、もっと硬くなりおったんや。もはやナイフすら通らんかった。

ちょっと残念で、だいぶホッとした最期でした。

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