僕の誕生日2017

皆さんは当然ご存知かと思いますが、今月11月は僕の誕生月です。

思い返せば去年の誕生日。

愛するワイフは、既製品の座布団にアップリケで「アバらぶ♡♡」とデコレーションしたものを、誕生日の朝にいつも僕が座る場所にサプライズで置いてくれてたんです。

そんな演出に対して僕は・・・

一切気付かずに座り続けました。

シビレを切らしたワイフのツッコミでようやく気付きましたが、あれは気付かなかったというより、あまりにもしっくりきすぎて僕と同化してただけなんだ。

  

そして今年、僕よりちょっと早いワイフの誕生日に、僕はちょっとしたサプライズをしました。

なので僕の誕生日にはきっとサプライズ返しをしてくるんだろうなぁと思っていました。

僕の誕生日当日の朝、出勤前の朝風呂に入っていました。

いつもならある時間になると風呂のドアをバンバン叩きに来るのに、今日は全く来る気配が無い。

おかしいと思いつつ、風呂の中からワイフに、

おーい、まだ時間大丈夫かねー??

  

と声をかけると、あからさまにドタバタしながら、

ワイフ
あーゴメンゴメン。ちょっと色々やってた。

  

…これは明らかに、現在進行形で何か仕掛けておる。

なるほど、何かあるなら夜かと思ってたけど、忙しい朝にぶち込んできたか。

出勤まであと30分。

まぁプレゼント授受くらいなら朝でも充分時間はあるか。

なんて思いながら身支度を終え、ワイフのいるリビングに向かうと…

 

ワイフ
ハッピバ~スデ~~ア~バ~~

 

セレモニーキタ━(゚∀゚)━!!!

なるほど、この忙しい朝にこうきたか。

これって、歌うたったり、火消したり、切り分けたり、いろいろ時間かかるやつやー!

でも嬉しいぞ。忙しい朝なのはお互い様や。

そこであえてこんなのやるんだから、なんて愛情たっぷりなワイフなんだろう。

  

だがひとつ気になる。手放しで喜べない。心にモヤモヤが引っかかる。

その理由はひとつ。

ワイフのおかし作りスキルの低さだ。

  

これは僕だけの不安ではないはず。

これまでの人生を振り返れば、作った本人もその自覚はあるはずなんだが…

  

しかし手作りケーキとは随分チャレンジしたな。で、自信アリなのか??
ワイフ
それなんだが、スマン。味見はしておらんのだ。

  

ナルホドそういうことね。

ここからが「真のサプライズ」ってことね。

いいよいいよ全然オッケー。

この試練、二人で乗り越えような!

 

ひと通りの儀式を終え、いざ実食です。

切り分けるため、ワイフがケーキ入刀!

ん?

んんッ??

な、なんだとッッ!?

  

 

どうやらナイフがすんなりと入らないようだ。

岩盤層でもあるのだろうか?

てゆーかケーキのはずだよな?

一体なんの素材で構成されているんだ?

ワイフ
ホットケーキミックスを炊飯器で炊いたんだ。

  

そ、それがホットケーキミックスだと!?

あの防御力ゼロのホットケーキミックスを炊飯器で炊くと、そこまで硬くなれるのか!

これはすごい発見じゃないのか?

ワイフ
ま、1回でいいところを6回も炊いたんだけどな。

  

すげぇ!なぜ1回でいいところを6回もやったんだ!?

そこに至った思考を追及したいとこだが、出勤まで時間が無いのでやめておこう。

悪戦苦闘しながらも、なんとか二人分の切り分け完了。

  

そして断面部を見て納得。

  

ケーキのはずなのに一切の空気を受け入れないであろう、この限界まで凝縮された肉質。

この見た目はもはや羊羹。

しかしその耐久力は羊羹をも遥かに凌ぐ。

こうなってくるとチョコで書かれた「Happy Birthday」の文字ですら恐怖文字に見えてきたわ。

 

朝食がケーキとか、胃腸虚弱の僕が耐えられるか不安だが、出勤までもう時間がねぇ。

アバ、食うんだ!

このケーキの皮を被った得体の知れないなにか・・・を!

い、いい、、いただきます。

  

ぱくっ…

ジャリッッ…

周りについたレインボーのツブが、まるで砂利でも噛んだかのような食感だ。

肝心のケーキ部分は消しゴムでも食べているかのような食感で、味もほとんど無い。

上に乗ったベリーは冷凍されていたらしく、食べた途端に僕の知覚過敏を呼び覚ました。

  

もう一口食べたいかと言うと・・・それはできれば避けたい!

ワイフも横で自分の分を食べた後、軽く硬直している。

僕のために陰でがんばって作ってくれたことはすごく嬉しい。

だが「ウマい!すごく美味いよ!」なんて言っても、ワイフはウソだと分かるだろう。

だって自分も食べたんだから。

  

するとこれを錬金したワイフは、

ワイフ
ま、サプライズにはなったな!ε=( ̄。 ̄;)フゥ

なんて満足そうに言っている。

まるで何かの大役を任され、それをやり遂げたようなとても晴れやかな表情だ。

そんなワイフを見て僕が感じたのは、ワイフへの愛おしさとなんとも言えない満足感だった。

ふと気付けばもう出勤時間。

「残りは夜食べよう」と言いつつ、急いで家を出る。

駅に向かう道中、僕はワイフの朝からのドタバタ劇を思い出して笑っていた。

そしてつくづく感じたのは、プレゼントというものは物の価値でなく「そこに込められた想いにこそ一番の価値がある」ということだった。

万人向けに作られた美味しいケーキよりも、僕のために作られたケーキらしきもの・・・・・の方が僕は嬉しかった。

ワイフ、僕の為にいろいろありがとう。

ケーキらしきものは別として、その奥にあるワイフの気持ちはしっかり消化・吸収しておくよ。

  

その夜。

そういえば、朝のケーキどうなってる?
ワイフ
アレな、捨てたわ。
なんで?夜食べようと思ってたのに。
ワイフ
そう思って冷蔵庫に入れておいたら、もっと硬くなりおったんや。もはやナイフすら通らんかった。

  

ちょっと残念で、だいぶホッとした最期でした。

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