今から20年以上も前のこと。私の通っていたド田舎の中学校では、男子は全員坊主頭でした。
それが規則だったんです。もちろん周りの中学校も全部そうでした。
今の時代だったら、人権が個性が・・・で問題になりそうですが、当時はそれが当たり前で、誰も何の疑問も持っていませんでした。
私に至っては、それが日本の法律で決まっているんだと思ってたほどです。(本気で)
そんな私の当時の髪型はツーブロックだったので、いきなり丸坊主にするのは本当に辛かった。
でも日本の法律なんだから仕方ない・・・ということで、小学校を卒業して中学校入学までの春休みに、近所の床屋で泣く泣く出家しました。
あのときのサッパリ感、床屋を出てふと風に吹かれた時の爽快感は今でもよく覚えています。
私がセルフカットをするようになった理由
中学3年間の坊主も終わり、高校に入ってすぐに髪を伸ばし始めました。
ある程度髪も伸びて最初の散髪。
もう高校生なので床屋は卒業し、美容院へ行くことを決意。
当時人気の芸能人「河相我聞」の切り抜きを握りしめて。
そしてできあがった髪型がコチラ。
髪質じゃねぇ!これはお前のウデの問題だ!
心で号泣しながら家に帰り、家にあった文房具用のハサミを駆使し、辛うじて河相我聞っぽく修正。
人間やればできるもんです。
その件以来、美容師にとてつもない不信感を抱いた私。
お金かけて思ったようにならないのなら自分で切ったほうがマシってことで、親にお願いして近所のホームセンターで髪切り用のハサミとすきバサミのセットを買ってもらいセルフカットへの道へ。
それからというもの、前髪はまだしも横や後ろは三面鏡を駆使し、試行錯誤しながら我流セルフカットの道をひたすら歩みました。
慣れてくると時間もかからなくなり、洗顔→歯磨き→散髪のノリで気軽に散髪するので、周りからは「髪伸びないの?」なんて言われたりもしました。
自分で髪を切ってることを告白すると、大抵は「信じられない」といった反応をされるので、それなりに仕上がっているということでしょう。
すきバサミはセルフカットの必需品
どんなに高級な道具を使っていても、そもそも絵のセンスがなければいい絵なんて書けない。
セルフカットも同じで、目指す髪型とハサミにはさほど因果関係はなく、大事なのはカットする人のセンス(感性)だと、私は今までそう信じてきました。
「馬鹿と鋏は使いよう」ということわざがあるように、ハサミなんて使い方ひとつでどうとでもなる。
だから私がこれまで使ってきたハサミはどれも安物だったし、メーカーだって全く気にしたことはありませんでした。
肝心のカットはというと、9割方はすきバサミを使い、最後に整える時だけ普通のハサミを使います。
すきバサミは通常のハサミと違いバッサリ切れてしまうわけではないので、ミスしても目立ちにくいんです。
その分1回のハサミ入れでカットできる髪の量が減るのでチョキチョキする回数は増えますが、ミスする恐怖が無い分高速でできるので、所要時間的には大してかかっていないんです。
すきバサミに大事なのは「切れ味」
すきバサミは髪を傷める。
素人のセルフカットにおいて、これは事実だと思います。
プロが使う1本10万円もするようなハサミがあれば、そのダメージもだいぶ減らせるかもしれませんが、素人がそこらの安いハサミでただカットしている限り、髪はダメージを負っていると考えていいでしょう。
その原因がこれです。
切れ味が悪くて上手く切れないから、棒刃と櫛刃を押し付けるように余計な力を入れて切ろうとする。
支点の立て付けが悪くなったり、刃同士が必要以上に当たることで余計に切れなくなる。
髪をスパッと切るのではなく潰すように切れたり、髪がハサミに引っ掛かって折れたりして髪が傷む。
セルフカットを20年以上やってきて、これまでたくさんのハサミを使ってきた私が断言できるのは、安いハサミは切れ味が悪い。
普通に考えたら安かろう悪かろうなので当然といえば当然ですが、私はそもそもプロが使うような「切れ味が良いハサミ」を使ったことがないので、切れ味が悪いという判断ができなかったんです。
だって私がこれまで使ってきたハサミなんて、どこのドラッグストアでも売っている安物でしたから。
とはいえ、私だってちょっと欲張って数千円のものを使ったことはあります。
でもいざ使ってみると千円のやつと大して変わらなかったんですよね。
むしろギャッツビーよりも切れ味が悪いような、梳き方にもムラがあるような感じだったんです。
それで櫛刃をよく見たら・・・
なんですかこのクオリティは?溝がバラバラじゃないですか。
作りが雑ってことは切れ味だって良いはずがない。
ギャッツビーの倍のお金を出しても結局この程度なら安いハサミで十分ってことで、これまでハサミにはほとんど拘ってこなかったんです。
でもあるハサミと出会ったことで、私のこれまでの考え方が一変したんです。
プロ仕様のすきバサミ「富士山シザー」
以前から富士山シザーの存在は知りつつも、ちょっとお高いので今まで選択肢には入りませんでした。
それがある時、すきバサミの買い替えタイミングとパチスロで大勝ちするという出来事が重なったことで、普段では絶対に手を出さない1本5000円以上もする「富士山シザー」を購入することに。
この買い物が、私のこれまでのセルフカットの世界観を一変させるとは思ってもみませんでした。
富士山シザーには、私が今まで使ってきたハサミには無い3つの優れた特徴がありました。
- 凄まじい切れ味
- 15%という脅威のスキ率
- 専用ケースとお手入れセット
ハサミを親指と薬指で優しく持って、軽く開閉するだけの力加減で髪が切れます。
他のハサミでこんなことしたら確実に髪が刃の間に挟まって折れてしまうのですが、富士山シザーは刃に捉えた髪は必ず切って落とします。
さらにカットした時の手に伝わる感覚や音も別次元で、今までのハサミは「ジャキジャキ」なのに対して、富士山シザーは「サッサッ」という感じで髪の抵抗をまったく感じないので、切れたのかどうかも不安になるレベルでした。
すきバサミ一度の開閉で、捉えた髪の何パーセントを梳くことができるかという数値がスキ率で、これが高ければ高いほど一度にカットされる髪の量は増え、カットラインも出やすくなります。
一般的に出回っているすきバサミのスキ率は30%超えがほとんどで、100均のはさみに至っては50%近くあります。
これは一か所にハサミを2回入れたらパッツン逝ってしまう計算で、こんなハサミを使ったらヘアカットに不慣れな人が上手くカットできるわけありませんよね。
その点、富士山シザーのスキ率は「15%」という驚異の少なさで、刃は旧式のU字やV字タイプでなく次世代のフラットタイプ。
スキ率の少なさはそのまま失敗するリスクの少なさに繋がります。
▲上:ギャッツビーヘアセルフカットセットのすきバサミ
▼下:富士山シザーのすきバサミ
旧式のU字やV字タイプは溝に捉えた分だけカットしようとするので、髪質や切れ味によっては髪を押し潰したりちぎったりしてしまいます。
これに対してフラットタイプは、刃が髪を必要以上に捉えてしまっても、髪が刃から横に逃げることができるので髪を傷めにくいんです。
そして見落とされがちですが意外と重要なのが、ハサミを閉じた時のこの隙間。
▲上:ギャッツビーヘアセルフカットセットのすきバサミ
▼下:富士山シザーのすきバサミ
ハサミを閉じた時、刃から逃れた(こぼれた)髪がこの隙間に入ることになります。
この隙間が狭い場合、逃れた髪がこの隙間で束ねられ、押し潰されて、棒刃によって傷付けられてしまいます。
でも富士山シザーならこの隙間も倍以上広いので安心ですね。
私がセルフカットをする環境は洗面台が多く、場合によってはお風呂でも切ったりします。
どうせ安物だからというのもありアフターケアも雑で、ティッシュで軽く水気を拭いてそのまま洗面台の棚にポイ、使用後のお手入れなんてほとんどしたことはありませんでした。
しかし富士山シザーは5000円以上もする高級品?なので、それなりのケアはしたいところ。
幸い富士山シザーには使用後のメンテナンス用に専用のシザーオイルとセーム皮が付属しています。
さらに豪華な専用ケースや、正しい使い方やメンテナンス方法の説明書もしっかりしています。
富士山シザーを使うとセルフカットがすごく快適になるので、使った後も大切にしたくなります。
そこにメンテナンス用品と専用ケースがあるものだから、使わずにはいられないんですよね。
こんな感じで今までのように雑に扱うことがないので、富士山シザーは買ってからもずっと素晴らしい切れ味を保ってくれています。
さいごに
私はすきバサミをメインで使うので、あえて1本だけのコレを購入しました。
これからセルフカットを始めたいという人や、どうせなら両方欲しいって人は2本セットもあります。
カット後の切った髪の掃除も結構大変なので、これを機に散髪用ケープも買いました。
これをかぶってヒゲを付ければ、メキシコでマラカス振ってるような陽気なオッサンにも変身できます。
さいごに、富士山シザーに出会った今だから言えることがあります。
馬鹿と鋏は使いよう
馬鹿言ってないで、ちゃんと鋏にはこだわったほうがいいですよ。